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■管理者の考え■
ここでは、長年学習指導の現場に立ってきた管理者が、オンライン学習ゲームサイト19onlineを自ら立ち上げるに至った理由と製作にあたっての想いについて、暗記系・習熟系学習の性質と学習ゲームの可能性に触れながら語っていきます。長文になりますが、よろしければお付き合い下さい。
<理解系学習と暗記系・習熟系学習>
ひとくちに勉強・学習と言っても、すべての教科の学習には、大きく分けて理解系・暗記系・習熟系の3つの流れがあります。このうち「理解系」は授業で先生に教わったり、本を読んだりして新しい知識の内容とそのしくみを理解する過程で、人間を相手に行う授業という形式が最も効果を発揮する部分です。これに対して残りの2つ、「暗記系」と「習熟系」は、ノートに向かって習った単語や漢字を繰り返し書いたり読み上げたり、またドリルを開いて既に理解した計算などを繰り返し繰り返し行ったりして、作業や記憶の正確さや早さを磨いて行く過程になります。そして、この「暗記系」「習熟系」の学習こそが「勉強ぎらい」の最初のつまづき始めであることが非常に多いのです。
<暗記系・習熟系の特徴>
暗記系・習熟系の学習の特徴は、とにかく「孤独」で「単調」な繰り返し作業であるということです。個人差こそあるものの、基本的に人間は「孤独」や「単調さ」に「苦痛」を感じるようにできています。精神的に成熟していない幼い(若い)時期にある児童・生徒にはなおさらです。この時期は同時に旺盛な好奇心となんでも吸い込む軟らかい頭脳をもっている時期なのですが、せっかくの好奇心もこれらの苦痛のためにしぼみがちになってしまうのです。しかしながら、暗記系・習熟系の学習をしっかり行うこと無しに、学力の十分な向上はありえません。うろ覚えの知識や未習熟な技術の上に、次々とあたらしい知識や技術を盛り上げられたのでは、つまづくのも勉強嫌いになるのも当然の結果といえるでしょう。
<孤独と単調に打ち勝つには>
この問題を乗り越えることこそ、(特に初等・中等の)学習をスムーズに進めていくための最大のポイントの一つといえるのですが、この「孤独」と「単調」に打ち勝つ有効な手段は何なのでしょうか?それは「競争」の導入と「達成感」です。「競争」というと、スグに熾烈な生き残り戦争のようなものを浮かべて嫌悪する方もあるでしょうが、それは大人だけ。本来「競争」は子供にとって非常に楽しく、エキサイティングなものです。そして競争に勝つことは、その結果がたいしたものでなくとも、十分な「達成感」をもたらしてくれます。このことはかけっこに興じたりジャンケンに夢中になったりする場面を想定していただければわかるでしょう。もちろん、ひたすら負けつづける競争は苦痛以外の何者でもないでしょう。しかし、この点さえ上手くコントロールできるならば、競争のもたらす恩恵は非常に大きいのです。必ず「相手」を必要とする「競争」において、孤独や単調が幅をきかせることは非常に困難なのですから。
<なぜ「ゲーム」なのか?>
前章で「競争」の重要さを説明しましたが、これに関連して、スポーツを含むあらゆる「ゲーム」には、ある素晴らしい特徴があるのです。それは「ゲーム」が「競争」のもつエキサイティングさをそのままに(むしろ増幅しつつ)、「競争」の裏面である「容赦なさ」や「過酷さ」といったものを大幅に和らげてくれている点です。これはゲームがその勝敗を独自のルールによって決定するためで、勝敗が敗者の生命の問題に直結しないためともいえます。「食料の奪い合い競争」に負ければ飢え死にしてしまいますが、「ボールを相手ゴールに入れあうゲーム」に負けても「くやしい」と思う以上のことは(プロ選手は別ですが)ありませんよね。この点で、あらゆるゲームは人類の最も素晴らしい発明の一つだといえます。若干話がずれてしまった観もありますが、たとえば周囲の人々と競い合って勉強する場合でも「ゲーム」としてこれを行うことができれば、「競争」の良い面を引き出すことができるというわけです。もちろん、これを有効に行うには、@きちんとしたルールとA豊富に用意された問題と解答、B公正な審判、C特定の誰かが負け続けないための配慮の4つが必要となりますので、学校や家庭で先生や保護者の方がこれを実行するにはかなりの労力を必要とすることになりますが・・・。
<コンピュータの出番>
そこで、コンピュータの出番です。問題の出題、採点、勝敗の判定といった作業の反復はコンピュータの得意とする所。出題者・審判をやりつつ、対戦相手にもなってくれますから、利用者が利用したいときに時間を問わずいつでもプレイすることが可能で、もちろんやめるタイミングも自由。この「いつでも」というのが人間同士でやっているとなかなかむずかしい所で、せっかくの良い方法が生かせない足かせともなりがちなのですが、コンピュータが相手なら全く問題ありません。また、人間同士だと競争者の間に決定的な実力の差があるために片方が一方的に負けつづけるということが起こりかねませんが、コンピュータが相手ならこの問題も柔軟に対応することができます。始めにきちんとしたシステムを準備できればあとは、よき出題者・採点者・対戦相手・判定者の4役をコンピュータが的確に演じてくれるという訳です。
<小さな目標と達成感の蓄積>
コンピュータを使ったゲームの利点は、これだけではありません。苦痛を感じがちな反復学習をスムーズにすすめるためのポイントとして、もうひとつ「達成感」をあげていましたが、この点でもコンピュータを使ったゲームは優れたものとなり得ます。一般的なコンピュータゲーム(学習には特に関係のないもの)は、細かい内容の差はともかくとして、ほとんど全てが次の要素から成り立っています。つまり@目標の設定(○○を救う等)、A障害の設定(敵キャラクタや謎かけ等)、Bプレイヤーの操作技術の向上または主人公キャラクターの成長、C障害の克服(敵キャラクタの打倒や謎解き)、D目標の達成(ゴール)という5つの要素です。ゲームで遊ぶ人はみな、目標を達成すべく障害を克服するために、繰り返し操作技術を磨いたり、何時間も(何十時間も)かけて主人公を強化したりするわけですが、これは客観的にみて大変な反復作業であるといえます。時間もかかれば肉体的にも随分と疲れるものです。にも関わらずみな嬉々としてこの反復作業に取り組むのはなぜでしょうか。それは設定された障害の克服、目標の達成に価値を感じているからに他なりません。もちろん作業そのものを楽しいものにしようとする製作者側の工夫もあるでしょう。しかし、次々に提示される小さな目標と小さな障害、ストーリーに促されるままこれを次々と克服し達成していくうちに、気がつけば大変な量の反復作業をこなしていた、というのが実態ではないでしょうか。ここから学ぶべきことは非常に多いように思います。それは例えば、小学生に「基礎計算問題が1問1秒ペースでできるまでひたすら練習しなさい」と課題を出すのではなく、スピードの違う対戦相手をコンピュータ上に何人も用意して、自分の実力に応じた相手から順番に勝てるように頑張っていけば、最後の相手を倒すころには目標とする1問1秒の実力がついている、という具合に工夫してみるということです。これは言い換えれば「孤独なつらい訓練」を「実力の合う相手との楽しい競争」に置き換える工夫といえます。
<学習ゲームの現状>
ここまで述べてきたように、学習ゲームには、人対人の指導ではなかなかクリアできない問題に貢献しうる非常に大きな可能性があります。にもかかわらず、現今「学習ゲーム」と称して提供(有償・無償含む)されているものは、その殆どがゲームとは到底呼べないものばかりだというのが現状です。既存の学習ゲームの大半は、単なる出題・採点システムに過ぎません。対戦相手もなく、ゲームとしての目標もなく、物語性も持たないこれらの学習ゲームは、ただ単に指導者の出題と採点の手間をコンピュータが肩代わりしているシステムに過ぎず、児童・生徒の受ける恩恵はほとんど何もありません。学習ゲームというものの持つ可能性とその現状、私(管理者)が当サイトを立ち上げ、自分で学習ゲームを製作・提供してみようと思った理由がここにあります。
<19onlineの目指すもの>
当サイトのトップにも掲げている通り、19onlineでは「本当に楽しめる」学習ゲームの製作と提供を目標としています。技術的・資金的な問題もあり、現時点では十分に達成されているとは到底いえませんが、工夫と改良を重ねて、子供たちが「夢中になって遊んでいるうちに、ついつい勉強してしまっていた」そんなゲームをいつか作り上げたい。それが19onlineの願いなのです。
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