なぜ「無料」にこだわるのか(2)

 そもそも、無料云々以前に、僕が自分で学習ゲームコンテンツの開発を行おうと思った理由は、かつての生徒たちに使わせるのに良いと思えるものが全然見当たらなかった(少なくともその当時では)からです。管理側(大人)本位で「楽しませよう」という気の感じられない製品群と、それらに失望している利用者(当時の僕を含めて)。期待されない分野はますます伸びにくくなるという悪循環は、結局のところ「まだちょっと早かった」ことがそもそものつまづき始めであったのだと思います。「早かった」というのは開発・導入・更新、全てに膨大なコストがかかる当時の情勢では、普及させること自体が困難だっただろうということです。

しかし、いわゆるIT革命が進み、web2.0などと称される現在にいたって、上記のコストが劇的にさがり、パソコン・高速回線ともに非常な普及率をみせるようになったにも関わらず、学習ゲームという分野は、依然として、十分な伸びを示してはいないように思います。

インターネットから離れますが、ニンテンドーDSなどの家庭用ゲーム機で、教育・学習系のソフトが多数発売されています。これはこれで非常にいい傾向だとは思うのですが、実際のところ大ヒットは、有名な「脳を鍛える大人のDSトレーニング」など、ごくごく一部にすぎません。しかも、くしくもその最大のヒット作品に「大人の」と冠されているように、ターゲットは大人であり、もともと子供向けに作られた他の製品群には、ヒットと呼べるほどのものは見当たらないように思います。

こういった現状の背後には、やはり結局のところ「お金」の問題があるわけです。さまざまなコストが大幅に下がったとはいえ、やはりこの学習ゲームという分野(特に子供向けのもの)が、まだまだ「おいしく」ない分野であることに変わりはありません。「おいしくない」ところには人もお金も集まっては来ないものです。

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